伝送距離や伝送効率
空洞共振方式がワイヤレス給電の
課題を解決します
空洞共振方式の活用アイデアを共に考える、共創パートナー様を募集します。

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  • 募集内容

    伝送距離や伝送効率といったワイヤレス給電の課題をともに解決する共創パートナー

  • 活用商材

    箱の中に対象物を入れ、比較的離れた位置のデバイスに高効率で送電できる「空洞共振式ワイヤレス給電技術」

MATCHING
POINT

  • ・ワイヤレス給電の課題を抱えており、解決策を模索、または相談先をお探しの企業様
  • ・空洞共振方式のワイヤレス給電技術を使った新しい活用アイデアを、カタチにしたいとお考えの企業様
スマートフォンをワイヤレス給電

現在、スマートフォンを中心に非接触で給電ができるワイヤレス給電が普及してきています。
IoTで繋がった家電製品や医療機器、産業機器、また電気自動車などでもワイヤレス給電が可能になれば、利便性が大きく向上します。
村田製作所では、空洞共振方式のワイヤレス給電を可能にする技術を開発。この技術の新しい用途を共に開発する共創パートナー様を募集します。
ご関心のある企業様は、是非、お問い合わせください。

ワイヤレス給電とは

ワイヤレス給電とは、離れた場所にある電気機器などに、電源ケーブルの接続を行わずに無線で電力を伝送する技術です。
これまでの給電はコンセントから電源コードを介して有線で送電していましたが、離れた場所に無線で電力を伝送することから、ワイヤレス給電(無線給電):WPT=Wireless Power Transferと呼んでいます。

ワイヤレス給電構造図

ワイヤレス給電の主な方式

ワイヤレス給電における電力の伝送方式は、数~数十cmの距離を伝送する「近接結合型」と、数メートル以上離れたものにも電力を伝送する「空間伝送型」に分けられ、その中でも、「近接結合型」には電磁誘導方式、電界共振結合方式、磁界共振結合方式などがあり、「空間伝送型」には電波受信方式(マイクロ波)方式などがあります。

電磁誘導方式

電磁誘導方式

送電側と受電側との間で発生する電磁誘導の原理を用いて給電する方式で、スマートフォン、電動歯ブラシや電動シェーバーなどに活用されている最も一般的なワイヤレス給電方式です。
シンプルな回路構成、小型化、低コスト化が可能で、高効率に電力を送電できるというメリットがある反面、送電距離が短く、位置がずれると電力を伝送できないというデメリットがあります。

磁界共振結合方式

磁界共振結合方式

電磁誘導方式と同様にコイルの磁界で結合する方式ですが、LC共振(LC:L(コイル、インダクタンス)とC(コンデンサ、キャパシタンス)を利用した現象)を積極的に利用することで効率を上げられることが特徴です。
電磁誘導方式に比べれば送電距離が長く、多少位置がずれても電力を伝送できるというメリットがあります。

電界共振結合方式

電界共振結合方式

電界を利用して非接触で送電する方式です。
磁界共振結合と同様にLC共振を積極的に利用していますが、結合にはコンデンサ電極間の電界を利用します。
電磁誘導方式と同様に送電距離が短いというデメリットがありますが、給電部の発熱が少なく、位置の自由度が高くかつ高効率に電力を伝送できるというメリットがあります。

電波受信方式

電波受信方式

送電側で電力を電磁波に変換して送り、受電側のアンテナで電磁波を受信します。
数メートル先に電力を送られることがメリットですが、送電効率を上げづらいというデメリットがあります。

伝送距離と電力効率の課題を克服する、村田製作所の空洞共振方式

大きな活用メリットがあるため注目を集めているワイヤレス給電ですが、電磁誘導方式・磁界結合共振方式(電界結合共振方式)は高効率で大きな電力送電が可能というメリットがある反面、離れた場所や見通し外への送電が困難というデメリットがあります。
また、電波受信方式は、離れた場所に電力送電ができる一方で、送電効率の悪さや人体への電磁波影響なども慎重に検討しなければなりません。村田製作所では、こうした課題を解決すべく、中距離で電力を送電する「空洞共振方式」のワイヤレス給電技術を開発しました。
「空洞共振方式」は、電磁波を遮蔽できる金属などで包囲された箱(筐体)の中に給電したい対象物を入れて無線送電をする技術です。
筐体内に電磁波の定在波を励振することで、離れた位置のデバイスに対して高い効率で電磁波を漏洩なく送電することが可能となります。

空洞共振方式図
  • 受電器受電デバイス給電したいデバイスに装着(内蔵)する
  • 筐体筐体受電デバイスを装着(内蔵)したデバイスを
    専用の筐体の中に入れることで給電できる

「空洞共振方式」の最大の特長は、比較的遠い距離の対象物に大きな電力を伝送できるということです。
電波受信方式より効率の良い、最大40%の高い送電効率を実現し、複数の電子機器に同時送電が可能です。
受電アンテナが小さく、受信機の設置自由度も高いという特長があります。
筐体の中に入れれば給電ができるため、給電対象物の精緻な位置合わせも不要で、周辺への電波漏洩の心配や、マイクロ波ビームの指向性制御も不要です。
障害物の影響も受けにくく、高温・低温の環境下でも給電ができるという特長があります。

各方式の伝送距離と送電電力のグラフ 各方式の伝送距離と送電電力

空洞共振方式の活用シーン

このように伝送電力と距離の課題を克服した「空洞共振方式」ですが、その活用シーンと可能性は広がります。

オフィスや文教施設での電子機器への給電

大量のパソコンや電子機器など、オフィスや文教施設では給電を要する様々な電子機器があります。
これらの給電を個々の使用者や教員が都度行い、そのために多くの時間を割いており、また給電ケーブルなどでデスク周りが煩雑になることがありました。
電子機器の使用後に空洞共振式のBOXに入れ給電をすることができれば、給電やケーブルの煩わしさから解放されます。

オフィス室内

陳列棚の商品への給電

家電量販店やホームセンターなどで取り扱う商品には、過放電を避けるために定期的に給電が必要な機器があります。
従来は人力で定期的に梱包を解いてから給電をする必要がありましたが、空洞共振式のBOXに入れることで、梱包を解くことなく一括で給電ができるようになります。

家電量販店やホームセンターの店内

工場のセンサなどへの給電

工場にはさまざまなデータを計測するセンサがあり、それらにも定期的な給電が必要です。
またライン内など人の手が届きにくい場所に設置をされているケースもあり、センサに給電するために作業を止めるなど生産性を低下させてしまう可能性もあります。
そうした場合、センサを設置しているパートを空洞共振式のワイヤレス給電エリアとすることで、給電切れの心配をすることなく作業をすることができます。

工場内ライン

寒冷地や劣悪環境下での給電

寒冷地や真空や防爆環境などの劣悪環境にも、様々な電子機器が存在します。
劣悪環境下では有線による給電では、線の損傷や破断がありスムーズに給電ができませんでした。
また、寒冷地にはこれまで寒冷地仕様の給電機器がありましたが、高いコストが掛かっていました。こうした環境下でも空洞共振式なら、安全でスムーズに給電することができます。

寒冷地の積雪

ワイヤレス給電の課題を村田製作所とともに解決!
共創パートナー様を募集します

このように空洞共振方式でのワイヤレス給電は、比較的遠距離の対象物に高効率で給電でき、これまで給電にかけていた手間や時間を省力化することができます。
前述した活用シーンはあくまでアイデアですが、この記事をお読みの方のなかには、「空洞共振方式のワイヤレス給電技術を使った新しい活用アイデアをカタチにしたい」「ワイヤレス給電の課題を解決したい、解決策を一緒に考えてほしい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした方はぜひ村田製作所にご相談ください。
パートナー企業様の課題を真摯にお伺いした上で、空洞共振式の給電技術を使った解決策を一緒に考え、ご提案します。

お問い合わせ

村田製作所では伝送距離や伝送効率といったワイヤレス給電の課題をともに
解決する共創パートナー様を募集しています。
村田製作所との協業にご関心のある企業様は、お問い合わせフォームにてお気軽にお問い合わせください。

佐伯 洋昌(さえき ひろまさ)

開発者の声

村田製作所 技術・事業開発本部
新規技術センター 技術戦略室
佐伯 洋昌(さえき ひろまさ)

空間共振方式の開発に携わった技術者(佐伯 洋昌)に、空間共振方式の開発の経緯、可能性、そしてパートナー企業様との共創について話を聞いてみました。

Q空洞共振方式のワイヤレス給電の開発に至った背景を教えてください。

佐伯 きっかけは、子供が携帯ゲーム機を充電し忘れ、プレイ中に電源が切れて悔しがっているのを見たときでした。
この子供の悔しがる様子を見て、ユーザーが気づかないうちにいつの間にか充電されるような仕組みがあったら良いなと思いました。
しかし同時に、空間伝送型のワイヤレス給電ではアンテナを大型化しなければ効率を上げづらい課題があることもわかっていました。

壁面の電磁波反射を利用した給電システム

そこで考えたのが、壁面での電磁波反射を利用してエネルギー回生をすることで効率を上げられないか、という発想です。
早速シミュレーションしてみたのですが残念ながらこのアイデアはうまくいかず、行き詰っていた際に、たまたま立ち寄った展示会で、豊橋技術科学大学:田村昌也教授の空洞共振方式のワイヤレス給電技術に出会いました。
その時、壁を使うというアイデアの方向性は間違っていなかったものの、アプローチが悪かったということに気づきました。

Q空洞共振方式のワイヤレス給電技術は、豊橋技術科学大学との共同研究なのですね。

佐伯 はい。そのとおりです。前述の展示会場にてすぐに田村先生にアポイントをとって、共同研究に向けて動き始めました。
先生や学生たちとの実験、ディスカッションを通じて空洞共振方式の基礎原理に対する理解が深まるにつれて、徐々に現実的な利用シチュエーションを想定した設計ができるようになってきました。

Q空洞共振方式のワイヤレス給電の魅力を教えてください。

佐伯 村田製作所の代表的な製品に、高周波フィルタがあります。実は空洞共振方式ワイヤレス給電はこれと似たような原理を使っています。
高周波フィルタは米粒のように小さなデバイスですが、遥かに大きなサイズの空洞共振方式のワイヤレス給電でも同じような原理が通用するという点が面白いです。
高周波フィルタに原理が似ていることもあって村田製作所との親和性も高く、協力をお願いしてきた社内メンバーにも受け入れられやすかったように思います。

佐伯さんと受電デバイス画像

Q空洞共振方式のワイヤレス給電の長所を教えてください。

佐伯 ワイヤレス給電は今後も発展し続け、社会を豊かにする技術です。
しかし現時点では、送受電器の距離に課題があったり、あるいは受電器同士が影になって複数台への充電が難しかったりなど、まだまだ使いづらいということがあるのではないでしょうか?
村田製作所の空洞共振方式はこれら課題へのソリューションになると考えております。

Q共創を通してどういったことを成し得たいですか?

佐伯 空洞共振方式のワイヤレス給電には箱(給電対象物を入れる箱)が必要となる制約があります。
しかし、よくよく考えてみると、日々の生活の中で電子機器は結局のところ箱に戻していませんでしょうか?
例えば我が家では子供の携帯ゲーム機は乱雑にではありますがおもちゃ箱に戻しています。また職場で制服に着替える際には、服にBluetoothイヤホンをポケットに入れたままロッカーに収納しています。このように生活の中で自然に行われている「箱に戻す」という動作の中で、いつの間にか電子機器の充電ができるようになったら面白いと考えています。

佐伯さんと受電デバイス画像

しかし、こうしたアイデアを製品にしていくには、村田製作所の力だけでは不十分です。例えばおもちゃ箱やロッカーを弊社で作るノウハウはありません。
村田製作所とパートナー企業、独自の技術やアイデアを持つ者同士が協力しあって初めてシステムを構築できるものだと考えています。
共創によって新しいアイデアが生まれ、豊かな社会を共に実現していけると嬉しいです。

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村田製作所では伝送距離や伝送効率といったワイヤレス給電の課題をともに解決する共創パートナー様を募集しています。
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