ネイチャーポジティブチーム

人と自然が
共生できる未来へ

CO2からつくる持続可能な資源生産と
CO2見える化による環境保全・再生~

概要

「脱炭素」「資源循環」「生物多様性」の3つのテーマに統合的に取り組む方策として藻類を活用し、
バイオマス燃料の普及や海洋環境回復にむけた活動を推進します。

人と自然の共生

概要図

解決したい社会課題

カーボンニュートラル・循環経済・ネイチャーポジティブのグラフ

環境省が発表した「ネイチャーポジティブ経済の実現に向けて」には、「これからの環境政策は〈カーボンニュートラル〉〈循環経済〉〈ネイチャーポジティブ〉の3つを統合的に考え取り組んでいくことが肝要」と示されています。

また国際的にも、2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全する「30by30(サーティ・バイ・サーティー)」という目標も設定されました。さらにSDGsに目をむけると「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」という、海と陸の生物多様性に関する目標も掲げられています。

本プロジェクトではこのような国際的な流れを鑑み、自然を保全するだけではなく、自然と産業がつながっていくような「人と自然の共生」を目指したプロジェクトとして、取り組んでいきたいと考えています。

実現したい未来

実現を目指す未来

「藻類」の活用でネイチャーポジティブを促進

本プロジェクトでは様々な特徴を有する藻類に着目して、2つの方向性でアプローチしようと考えています。ひとつは藻類から作るバイオマス燃料の利用を促進し、CO2の削減に寄与すること。そしてもうひとつは、海中の「藻場」を回復することで海洋環境を回復していくことです。藻場の回復は、海中でのCO2の吸収量(ブルーカーボン)の増大にもつながります。地球の7割は海だということを考えると、CO2を吸収するフィールドとしての海は、森と同等以上のものが広がっているともいわれます。その海中でのCO2吸収に、重要な役割を果たすのが藻類です。しかも藻類は時間の経過とともに微生物の繁殖が少ない深海域に流れていき、分解されずに維持されることで何千年単位でCO2を固定するともいわれています。このように藻類の様々な特徴をうまく活用して、人と自然が共生できる未来をつくっていきたいと考えています。

  • 藻類をバイオマス燃料として
    活用しCO2削減に寄与

    CO2削減イメージ

    (※)-日本におけるSAF供給・利活用拡大に向けた論点-みずほ銀行資料より抜粋

  • 海洋の藻場が固定するカーボンと
    そこで育まれる生物多様性

    生物多様性

    (※1)ブルーカーボン-浅海におけるCO2隔離・貯蔵とその活用-(堀正和・桑江朝比呂 地人書簡)

そのために必要なこと

「安価なバイオマス燃料開発」と「水中CO2センサ開発」

藻類を活用する2つのアプローチに関して、それぞれ独自の取り組みを行っています。まずひとつ目は、藻類から作るバイオマス燃料の課題といわれる「低コスト化」への取り組みです。藻類はバイオマス燃料の中でももっとも効率がいいといわれていますが、生産コストが非常に高く普及が遅れています。この課題に対し本プロジェクトでは、藻類を効率的に増殖させる独自プロセスを開発することで、コストダウンを実現させたいと考えています。特に、CO2の排出量が膨大となっている航空業界では化石燃料にかわる燃料の開発が嘱望されており、効率のいい藻類から作るバイオマス燃料のコストダウンは急務ともなっています。そして2つ目の取り組みは、海中のCO2がどれだけ吸収されたかを測るため、簡単に計測できる水中CO2センサの開発です。現在使われているセンサより「小さく」「軽く」「容易」といったセンサの開発によって、正確かつ簡便な評価法を確立することを目指しています。これにより「効果の見える化」を促進し、海中のCO2を吸収してくれる「藻場」の保全・回復につなげていきたいと考えています。

  • 藻類活用
    エネルギー資源として期待されつつも生産性が低いため普及の妨げに
    高密度培養を強みとする藻類培養プロセスを開発
    藻類イメージ
  • 海洋環境回復
    海中CO2モニタリングには多額の費用がかかり環境評価が進まない
    独自の水中CO2センサで定量評価法を確立し、藻場等の保全に貢献する
    海洋環境イメージ

現在の取り組み

step1,課題の設定→step2,課題を解決するソリューションの創出→NOWstep3,ソリューションの具体的な開発→step4,実現のためのパートナー探し→step5,実現化の実験段階→step6,事業の創出
  • STEP01

    課題の設定

  • STEP02

    課題を解決するソリューションの創出

  • NOW
    STEP03

    ソリューションの具体的な開発

  • STEP04

    実現のためのパートナー探し

  • STEP05

    実現化への実験段階

  • STEP06

    事業の創出

「藻類の培養技術の開発」においては、社内に微細藻類専用の培養環境を構築し開発を進めています。屋外で作るよりも屋内で作った方が面積生産性を上げられるという特徴があるため、屋内設備で大量に作る技術の開発を目指しています。一方「水中CO2センサの開発」においては、すでに定評のあるムラタのセンシング技術を活用して、海中のCO2を直接的に計るセンサを開発しようと考えています。空気中のCO2を計測するセンサとしては信頼性のあるものですが、海の中でそれを使えるようにするにはどうしたらいいか、外部パートナーとも協力して、日々この課題と向き合っているところです。

  • 開発中の高密度培養プロセス

    開発中の高密度培養プロセス

  • 開発中のCO2センサ

    開発中のCO2センサ

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