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無線センシングソリューション

製造業DX 無線センサ活用ガイド

無線振動センサによる
振動監視で予知保全を実現

無線振動センサによる振動監視で予知保全を実現

このページでは、回転設備(モーター、ポンプなど)における予知保全の重要性や振動監視の有効性について述べ、設備振動の監視方法について説明します。そして、振動監視における無線センサの利用メリットを解説します。

回転設備における
予知保全の重要性

回転設備は多くの工場で使用されており、重要設備に位置づけられるものも少なくありません。日本の製造業は少子高齢化による人手不足に直面しており、回転設備の保全に対し、最小限の手間で故障を予防できる予知保全の適用が進んでいます。予知保全においては、故障の兆候を早期に捉えることが重要となるため、回転設備の状態変化を捉えることに長けた振動監視が注目されています。

振動監視による
設備診断の種類と流れ

一般的に、振動監視による回転設備診断では、異常の有無を判定する簡易診断を実施した上で、異常原因の特定を目的とした精密診断を行います。

簡易診断は、予知保全対象の全回転設備を対象として、一定周期毎に振動値を計測します。
一方、精密診断は、簡易診断で異常と判断された設備を対象に、異常原因を特定するためのより詳細なデータ収集を行います。

比較項目
簡易診断
精密診断
目的
簡易診断…異常の有無を判定
精密診断…異常原因の特定
診断対象
簡易診断…予知保全対象の全回転設備
精密診断…異常な回転設備
タイミング
簡易診断…一定期間毎
精密診断…異常判定後

簡易診断で異常と判定された回転設備

簡易診断

簡易診断では、振動の大きさ(実効値)の閾値判定により設備状態を判断します。代表的な閾値判定方式は、絶対判定・相対判定・相互判定の3つです。
絶対判定は、判定が容易である一方、判定精度が悪くなるというデメリットがあります。
相互判定は、絶対判定より判定精度が上がる一方、経験に依存するため判定根拠が曖昧になります。
相互判定は3つの方式の中で最も判定精度に優れますが、適用対象が限られます。

判定方式
メリット
デメリット
絶対判定
メリット…判定が容易
デメリット…他の方法に比べ、判定精度が悪い
相対判定
メリット…絶対判定より判定精度が良い
デメリット…経験に依存するため、判定根拠が曖昧
相互判定
メリット…相対判定より判定精度が良い
デメリット…適用対象が限定的

絶対判定

絶対判定は、ISO 2372などの基準値を使用して設備状態を判定する方法です。

絶対判定

相対判定

相対判定は、特定部位の振動値の実績値から基準値を決め、測定値を基準値と比較することで設備状態を判定します。

相対判定

相互判定

相互判定は、複数ある同一設備の同一ポイントの測定値を比較することで設備状態を判定します。

相互判定

精密診断

簡易診断により異常設備を特定した後は、精密診断により故障原因を把握します。精密診断では、設備振動の周波数や周期性から異常原因を推定します。振動周波数は、回転設備の構造によって決まるため、周波数毎に振動の大きさを確認することで原因を推定できます。
故障原因推定後は、保全計画を立て、設備故障前に計画的に保全作業を実施します。

回転設備における
振動監視の方法

回転設備の振動監視方法は、オンライン監視・セミオンライン監視・オフライン監視に大別できます。

比較項目
オンライン監視
セミオンライン監視
オフライン監視
設備の重要度
オンライン監視…
セミオンライン監視…
オフライン監視…
設備の監視方法
オンライン監視…センサによる連続計測
セミオンライン監視…センサによる定期計測
オフライン監視…人による定期計測
監視システムの
導入コスト
オンライン監視…
セミオンライン監視…
オフライン監視…
監視の手間
オンライン監視…
セミオンライン監視…
オフライン監視…

最もシンプルなのは、人がハンディータイプの振動計を所持し、各設備を巡回点検するオフライン監視です。必要なのはハンディータイプの振動計のみであるため、監視システムの導入コストを抑えられるメリットがあります。一方、デメリットには、人による計測が困難な設備(危険エリアや狭所にある設備など)を対象とすることが難しい点や、点検に人手と時間を要する点が挙げられます。
オフライン監視の対極に位置するのが、オンライン監視です。オンライン監視は、監視対象設備に振動センサを設置し、振動値を連続計測する方式です。人による巡回点検を必要としない反面、振動センサなどの初期費用に加え、電源ケーブル・信号ケーブルの敷設工事費用なども必要になるため、監視システムの導入コストが高額になります。
セミオンライン監視は、オンライン監視とオフライン監視のメリットを兼ね備えた方式であり、監視対象設備に無線振動センサを設置し、振動値を定期計測します。セミオンライン監視は、人による計測が困難な設備に適用できるほか、電池駆動の無線振動センサを使用することで電源工事費用を削減できるため、オンライン監視より低いコストで導入し、巡回点検なしで各設備の振動を監視できるというメリットがあります。上記の理由から、セミオンライン監視は人手不足などの設備保全課題に対する解決手段として非常に期待されており、多くの企業がセミオンライン監視への移行を進めています。

無線振動センサによる
回転設備の巡回点検効率化

振動センサユニットLBAC0ZZ2TF

振動センサユニット
LBAC0ZZ2TF

村田製作所の無線振動センサは、高周波振動の測定に対応し、回転設備故障の兆候を早期に検出可能です。また、業界最小クラスのサイズで、年単位の電池寿命も実現しました。村田製作所の無線振動センサにご興味のある方は、下記からぜひお問合せください。

村田製作所の工場向け
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これらの無線センサは、920MHz帯の無線メッシュネットワークによるセンサデータの自動収集を可能にします。これにより、巡回点検作業を効率化しつつ、工場内の様々な情報を収集・可視化することが可能です。

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