環境負荷低減ソリューション工場排ガス処理用
耐熱セラミック触媒
お使いの装置に設置するだけで省エネを実現します
これまで削減が難しかったScope1燃料由来のGHGを削減
開発背景
企業が長期的に成長するために、経営においては「ESG」といわれる「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの観点が重要だという考え方が世界中に広まっています。特に製造業において環境保護や大気汚染防止のために注目されているのが「排ガス処理」です。法規制をクリアするのはもちろん、SDGsの観点も踏まえてより厳しい独自基準で排ガス処理を行う企業もあるほど、環境保全に対する重要な取り組みとなっています。
排ガス処理のお困りごと
工場から排出される有害なVOC(揮発性有機化合物)は、環境破壊や周辺住民の健康被害をもたらします。このトルエン、キシレン、酢酸エチルなどのVOCを処理する手段として活用されているのが「RTO(蓄熱式排ガス処理装置)」です。排気中に含まれる有害物質を、800°C以上の高温で燃焼することで無害化します。ただ、この燃焼工程には「燃料費の増加」「CO2の増加」といった問題もあり、カーボンニュートラルの観点からこれをいかに減少させるかが今後の課題となっています。
![co2排出のイメージ](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-matter01.jpg)
部署別の悩みごと・・・
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環境部門
排ガス排出量も減らしたいし、
CO2排出量も減らしたい。 -
製造部門
工程の稼働率が変わって
燃料費が上がることがある。 -
経理部門
燃料価格が高騰してきた。
燃料消費量を抑えたい。 -
中国工場担当
法規制が厳しくなり、
排ガスの分解率を下げたい。
セラミック触媒の特長
村田製作所ではセラミックコンデンサの材料設計技術を応用し、排ガス処理に活用できる耐熱セラミック触媒の材料を開発しました。この材料は量産され、中国の触媒メーカーF-Techが製造・販売するセラミック触媒に採用されています。
![ハニカムの表面にセラミック触媒がコーティングされている図解](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-feature01.jpg)
耐熱性に優れ、燃焼室が高温になっても劣化しない
従来触媒には、パラジウムや白金などの貴金属を使用していましたが、これらは加熱によって劣化していきます。しかし、耐熱性に優れたセラミック素材の触媒なら、燃焼室温度が850°Cを超えても劣化することはありません。このため濃度変化による温度上昇がある場合でも、長期間安全に、そして高効率に排ガスを分解し続けることができます。
![燃焼室温度と劣化度合グラフ](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-point_graph01.jpg)
【セラミック触媒】
![セラミック触媒の図解説明](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-point01.jpg)
- ①表面にセラミック触媒が塗布されている
- ②活性元素が構造に固定されているため、熱を加えても活性点が保持され、熱劣化が起こらない
お使いの装置に後付けすることで脱炭素・CO2削減に貢献
すでに工場に設置され稼働しているRTO(蓄熱式排ガス処理装置)に、セラミック触媒を後付けで導入することが可能です。 これにより燃焼室内の温度を低く設定することができ、熱回収率の改善によって浄化ガスの温度も低下。さらには自燃率の向上の効果も相まって、燃料消費を約50%削減することも可能です。 このように燃料消費の削減がCO2排出量の削減にもつながり、これまで削減が困難だったスコープ1(※)の温室効果ガスの排出量削減に貢献します。
※事業活動に伴う温室効果ガスの総排出量のうち、事業者自らが化石燃料の燃焼などによって直接排出する温室効果ガスのこと。
![蓄熱式排ガス処理装置にセラミック触媒を設置した図解](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-point03a.jpg)
![最大で50%の燃料削減に](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-point03b.jpg)
貴金属を使わず触媒機能を発揮する新規セラミック触媒材料
セラミック触媒は、パラジウムや白金といった貴金属の素材を一切使用していないため、貴金属材料の価格変動に影響されることはありません。また、セラミック材料の供給も安定しているためセラミック触媒は安心して導入することが可能です。
![セラミック触媒のイメージ](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-ceramic.jpg)
セラミック触媒
村田製作所が新たに開発した触媒活性をもつセラミック材料を採用し、中国の触媒メーカー F-Techが製造・販売するセラミック触媒は、耐熱性・耐久性に優れた触媒となっています。
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工場の環境負荷削減事例
中国商用車ホイール塗装メーカー
河南博愛強力車輪製造有限公司(中国 河南省)は、2021年2月に自社工場のRTO(蓄熱式排ガス処理装置)にセラミック触媒を導入。排出基準を満たしていることを確認しながら、燃焼室の温度を850°Cから700°Cまで下げて運用。それ以降3年以上に渡り安定稼働が続いています。また、セラミック触媒を導入したことにより、燃料消費量を年間で53%も削減するという大きな成果を達成しています。
![グラフ](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-case04.jpg)
![39%燃料削減](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-case04_num.png)
無錫村田製作所
村田製作所グループの無錫村田電子有限公司(中国 江蘇省)では、中国の厳格な法規制の排ガス基準を遵守するためRTO(蓄熱式排ガス処理装置)を870°Cで運転していました。2021年5月にセラミック触媒を導入して排ガス基準を満たしながら設定温度を750°Cに変更。これにより年間で39%の燃料消費削減を達成し、以降も安定して継続稼働しています。
![RTO外観](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-case06.jpg)
![燃料消費量のグラフ図解](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-case08.jpg)
![53%燃料削減](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/img-case08_num.png)
村田製作所国内工場
村田製作所グループの国内工場では、野洲事業所、出雲村田製作所の2拠点で計3台のRTO(蓄熱式排ガス処理装置)にセラミック触媒が導入されています。いずれも燃焼室内の温度を下げることによる効果でCO2の排出量を大幅に削減し、燃料由来によるGHG(温室効果ガス)の削減に寄与しています。
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53%燃料削減
70ton-CO2/年カット- 野洲事業所 A
- 装置: 二塔式RTO
- 設定温度: 800℃⇒700℃
- 設置時期: 2023年2月~(継続利用中)
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32%燃料削減
35ton-CO2/年カット- 野洲事業所 B
- 装置: 二塔式RTO
- 設定温度: 800℃⇒700℃
- 設置時期: 2023年7月~(継続利用中)
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検証中
- 出雲村田製作所
- 設置: 二塔式RTO
- 設定温度: 830℃⇒
- 設置時期: 2023年12月~(継続利用中)
セラミック触媒の製造販売について
![F-Techロゴ](/ja-jp/products/catalyst/asset/top/img/logo_ftech.jpg)
村田製作所が開発した耐熱セラミック触媒材料を使用したセラミック触媒は、F-Tech(上海斐腾科技公司)が製造・販売しています。F-Techは、新素材の研究開発、生産、販売、アフターサービスを統合した触媒企業で、江蘇省南通に生産拠点を有し中国では3,000件の導入実績を持っています。
村田製作所ではセラミック触媒の日本国内導入のトータルサポートを行っています。