排ガス処理とCO2
排ガス処理とCO2排出の動向
製造業においては自然環境の破壊を抑える取り組みの強化が求められ、生産活動にともない発生する「排ガス処理」もそのひとつです。 工場から排出される有害なVOC(揮発性有機化合物)は、排ガス処理装置で分解処理できますが、この排ガス処理の段階で大量の燃料消費とCO2が排出されるといった課題もあります。 日本の排ガス排出量は事業者の自主的取組によって2022年度には年56.7万トンと大幅に削減できている一方、排ガス処理に伴うCO2の排出量は年100万トン以上と推計しています(村田製作所の試算)。
![グラフ画像](/ja-jp/products/catalyst/asset/trend/img/img-graph.jpg)
(※)出典:「令和5年度 揮発性有機化合物排出インベントリ検討会報告書」(環境省ホームページ)をもとに作成
https://www.env.go.jp/air/osen/voc/inventoryR5_00001.html
https://www.env.go.jp/content/000068888.pdf
(※2)出典:揮発性有機化合物(VOC)排出抑制のための自主的取組の状況
2024年2月20日 産業技術環境局 環境管理推進室(経済産業省ホームページ)より抜粋
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/sangyo_kankyo/pdf/012_02_00.pdf
CO2排出を抑える排ガス処理方法
排ガス処理の方法には大きく分けて「燃焼法」「吸着法」「洗浄法」などがあります。吸着法や洗浄法は処理できる排ガスの種類が少なく、高沸点の溶剤は除去できず分解率が不十分となるケースがあります。そのため一般的には多くの業界で、様々な排ガスに対応できる「燃焼法」が採用されています。その中でも幅広く対応できるのが「RTO(蓄熱式排ガス処理装置)」です。
しかしRTOは、排ガス濃度が高濃度でない場合は多くの燃料を消費しCO2排出量も大量となってしまうため、燃料消費削減への対応が求められています。
排ガス処理方法 | 高濃度 | 低濃度 | 高温 | 分解率 | 対象溶剤 | 初期投資 | 運転費用 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
燃焼法 | 直接燃焼装置 | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ✕ |
触媒燃焼装置 | ◯ | △ | ✕ | ◯ | △ | ◯ | ◯ | |
蓄熱触媒燃焼 装置 (RCO) |
△ | ◯ | ✕ | ◯ | △ | △ | ◎ | |
蓄熱式燃焼装置 (RTO) |
◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | |
蓄熱式燃焼装置 + セラミック触媒 |
◯ | ◯ | ◯ | ◎ | △ | △ | ◎ | |
吸着法 | 回収装置 (活性炭、ゼオライト) |
△ | ◯ | ✕ | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
洗浄法 | スクラバー | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ |
その他 | プラズマ | ✕ | ◯ | ◯ | △ | ✕ | △ | ◯ |
排ガス処理の燃料消費が大きい業界
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自動車 -
塗装 -
化学 -
包装 -
印刷 -
電機電子
「RTO(蓄熱式排ガス処理装置)」は様々な業界に導入されており、車体や自動車部品、製缶などの塗装、化学、包装、印刷、電機電子などの製造工程で活用されています。このような工程では「大風量」「低濃度」「濃度変動」などの要因によって燃料消費量が大きくなっているため、セラミック触媒を導入することによる燃料削減の効果が期待できます。
業界 | 自主的取組 業界団体 |
参加企業数 |
---|---|---|
自動車 | 日本自動車車体工業会 | 211 |
自動車 | 日本自動車車体整備協同組合連合会 | 187 |
自動車 | 日本自動車工業会 | 15 |
自動車 | 日本自動車部品工業会 | 62 |
塗装 | 日本建材・住宅設備産業協会 | 32 |
塗装 | 日本工業塗装協同組合連合会 | 67 |
化学 | 日本塗料工業会 | 74 |
化学 | 日本接着剤工業会 | 77 |
化学 | 日本化学工業協会 | 68 |
印刷 | 日本印刷産業連合会 | 4121 |
印刷 | 印刷インキ工業会 | 41 |
電機電子 | 電機電子4団体 | 85 |
金属 | 全国鍍金工業組合連合会 | 100 |
金属 | 日本鉄鋼連盟 | 72 |
金属 | 軽金属製品協会 | 3 |
金属 | 日本電線工業会 | 117 |
金属 | 線材製品協会 | 8 |
金属 | 日本アルミニウム協会 | 8 |
金属 | プレハブ建築協会 | 7 |
金属 | 日本伸銅協会 | 7 |
金属 | 日本金属洋食器工業組合 | 34 |
金属 | 日本金属ハウスウェア工業組合 | 47 |
金属 | ドラム缶工業会 | 11 |
その他 | 日本釣用品工業会 | 19 |
その他 | 日本表面処理機材工業会 | 22 |
その他 | 日本製紙連合会 | 44 |
その他 | 日本オフィス家具協会 | 23 |
その他 | 日本プラスチック工業連盟 | 19 |
その他 | 日本粘着テープ工業会 | 13 |
その他 | 日本ゴム工業会 | 33 |
出典:揮発性有機化合物(VOC)排出抑制のための自主的取組の状況
2024年2月20日 産業技術環境局 環境管理推進室(経済産業省ホームページ)より抜粋
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/sangyo_kankyo/pdf/012_02_00.pdf