ベイパーチャンバーを用いた
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  • 募集内容

    ベイパーチャンバーを活用して熱対策の課題をともに解決する共創パートナー

  • 活用商材

    電子機器内の局所的な熱発生を速やかに拡散できる超薄型の熱拡散デバイス「ベイパーチャンバー」

MATCHING
POINT

  • ・熱対策に課題を抱え、解決策を模索されている、または相談先をお探しの企業様
  • ・ベイパーチャンバーの新しい活用アイデアをカタチにし、一緒に考えていくパートナーをお探しの企業様
Slim VC internal画像200μm in stickness

近年、電子機器の性能向上や高機能化、さらには部品の高集積化にともなって、筐体の小型、薄型化が進み、機器内部より発生する熱を逃がすためのスペースが小さく、狭くなってきています。そのため、いかに熱を効率的に分散・放熱し、冷却するかが製品を設計するうえで重要なポイントとなっています。
この電子機器の熱問題を解決すべく、電子機器の放熱部品のリーディングカンパニーであるCooler Master社(本社:台湾台北市)と「世界最薄:200μmベイパーチャンバー」を共同開発しました。
村田製作所では、このベイパーチャンバーを活用して熱対策の課題をともに解決する共創パートナー様を募集します。ご関心のある企業様は、ぜひ、お問い合わせください。
※当社・Cooler Master社調べ。2021年4月末時点

ベイパーチャンバーとは

ベイパーチャンバーとは、加熱された作動液が気化し、筐体(コンテナ)内を対流し、冷たい面に接すると熱負荷を放散して液化するというヒートパイプ同様の原理をもった熱拡散デバイスです。優れた熱性能をもち、小型・薄型化と高い熱拡散性能の両立が求められる場合に使用されています。

ベイパーチャンバーは図1に示すように、コンテナ、ウィックで構成された空間に作動液を減圧封入したものになります。
蒸発部と凝縮部に厳密な境界はありませんが、熱源と接触して熱入力される部分を蒸発部、それ以外を凝縮部としています。コンテナ内部には、作動液を毛細管力によって凝縮部から蒸発部に輸送するウィックが配置されています。

ベイパーチャンバー画像
ベイパーチャンバーの基本構造(断面図) 図1 ベイパーチャンバーの基本構造(断面図)

ベイパーチャンバーの仕組み・原理

ベイパーチャンバーの熱輸送サイクルは、図2に示すように①蒸発、②気体の移動、③凝縮、④液体の移動の4つの事象から成り立っています。

熱源で生じた熱を受けて作動液が蒸発し、蒸気がベイパーチャンバー内部に拡散することで放熱を行います。放熱が行われると、蒸気は液体として再度凝縮し、微細な隙間を備えたウィックの毛細管力により、再び熱源まで循環する構造となっています。

ベイパーチャンバーは、コンテナ内部の蒸気(気体)の移動により熱拡散を行う仕組みのため、コンテナ内部には気体が移動できる空間を確保する必要があります。またベイパーチャンバーの厚みを薄くする場合は、作動液を熱源に還流するウィックにも高い毛細管力が必要となります。

ベイパーチャンバーの熱輸送サイクル 図2 ベイパーチャンバーの熱輸送サイクル

ベイパーチャンバーが求められる理由

近年、電子機器の高性能・大容量・高速化は、データ処理量を著しく増加させるため、熱対策が必要不可欠になります。
特にスマートフォンやウェアラブル端末、ゲーミングPCは小型・薄型化も求められるため、電子機器内の局所的な熱発生を速やかに拡散できる超薄型の熱拡散デバイスとして、ベイパーチャンバーの活用が期待されています。

小型・薄型化
フリックしてご覧ください。
表1 放熱部品・放熱部資材の特長
種類 熱伝導率
(W/m・K)
厚み
(mm)
特長
グラファイトシート 200~1900 0.01~1 形状自由度が高い、安価
ヒートパイプ ~20000 0.45~ 熱輸送に優れる、ヒートパイプを曲げることで立体的な熱輸送も可
ベイパーチャンバー ~20000 0.2~ 熱輸送、熱拡散に優れる

表1に、放熱部品・放熱部資材として使用されているグラファイトシート、ヒートパイプ、ベイパーチャンバーの特長を示しました。
グラファイトシートは、2次元的に結晶化した炭素を層状に積み重ねたシート状のもので、高い熱伝導率(200~1900(W/m・K))を有しています。
またヒートパイプは、一般的には細長い円筒形状で、その内側にはウィックと呼ばれる金属メッシュと作動液(水や有機溶媒など)が密封されており、ヒートパイプの端部が受熱すると作動液の「蒸発」「凝集」によって熱輸送が行われます。
近年、電子部品の発熱密度上昇への対策として、グラファイトシートとヒートパイプ、あるいはグラファイトシートとベイパーチャンバーというように組み合わせて使用される機会が増えています。
村田製作所では、ベイパーチャンバー性能向上に取り組むだけでなく、他の放熱部品、放熱部資材との組み合わせも視野にいれた柔軟な放熱提案を行なっています。

村田製作所のベイパーチャンバーの特長

村田製作所では、ベイパーチャンバーの内部構造や放熱部資材の性能を数値化し、シミュレーションによって熱輸送力の最適化を行っています。
協業先のCooler Master社とともに設計と技術のバランスのとれたプロセスを経ることで、後戻りのない、効率の良いモノ作りができることが特長です。
最近では、超薄型に適したウィック開発に成功し、薄型かつ高性能なベイパーチャンバーを実現しました。
図3は、200μmを下回る薄さのベイパーチャンバーの外観写真(左)と、赤い四角部に取付けた熱源に、2W、4W、6Wと入力した時の面内温度分布の結果(右)です。ベイパーチャンバーの熱拡散機能により、熱がベイパーチャンバー全体に行き渡っていることが分かります。

200μm以下ベイパーチャンバーの外観と性能 図3 200μm以下 ベイパーチャンバーの外観と性能

Cooler Master社との提携により内部設計技術と量産化技術を両立

村田製作所では、電子機器の放熱部品のリーディングカンパニーであるCooler Master社との協業で、世界最薄:200μmのベイパーチャンバーの開発に成功しました。村田製作所がベイパーチャンバーの内部設計を、Cooler Master社が組み立て・量産化を担う、この設計と技術の両立により、超薄型ベイパーチャンバーを実現しました。

超薄型ベイパーチャンバーの画像
村田製作所とCooler Master社の設計と技術の両立

熱対策の課題を村田製作所とともに解決!
共創パートナー様を募集します

「熱対策に課題を抱え、解決策を模索されている」、「ベイパーチャンバーの新しい活用アイデアをカタチにしたい、一緒に考えてほしい」など、ベイパーチャンバーにご興味がある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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村田製作所では、電子機器内の局所的な熱発生を速やかに拡散できる
超薄型の熱拡散デバイス「ベイパーチャンバー」を活用し、
熱対策の課題をともに解決する共創パートナー様を募集しています。
村田製作所との協業にご関心のある企業様は、お問い合わせフォームにてお気軽にお問い合わせください。

森上 誠士、沼本 竜宏

開発者の声

村田製作所 事業インキュベーションセンター
新商品事業化推進部 開発、商品設計担当
森上 誠士(もりかみ まさし)、沼本 竜宏(ぬもと たつひろ)

ベイパーチャンバーの開発に携わった技術者(森上、沼本)に、ベイパーチャンバーの魅力や使い方のコツ、そしてパートナー企業様との共創について話を聞いてみました。

Qベイパーチャンバーの魅力について教えてください

沼本 ベイパーチャンバーの内部で起きている現象は「蒸発」「凝集」の2つ、構造は「筐体」「作動液」「ウィック」の3つとシンプルです。
このようなシンプルな極小空間の中に液体と蒸気の流れ(混相流)をうまく制御して作り出すことが、ベイパーチャンバーの醍醐味であり、難しいところです。
この難しさをおもしろいと思えるかは、エンジニアの心持によるかもしれません(笑)。

Qベイパーチャンバーはどのようなデバイスですか?

沼本 ベイパーチャンバーは熱拡散デバイスです。
「冷やす」というよりは、「ある箇所で発熱しているのを全体に広げるもの」とご理解いただいた方が、イメージしやすいかもしれません。

解説する森上、沼本

QCooler Master社との協業について教えてください

森上 ベイパーチャンバーの設計・開発・量産ではCooler Master社は大先輩です。
ベイパーチャンバーを使用されるお客様との距離も近く、商品開発の進め方についても参考にしています。
一方で私たち(村田製作所)も様々なアプリケーションを通じてお客様と培ってきた関係性・知見・情報を持っており、Cooler Master社とのシナジー効果のある熱対策提案をしています。

Qベイパーチャンバーの使い方のコツを教えてください

沼本 「どこにベイパーチャンバーを入れたら効果を発揮するのか」「どの部分の発熱に対処したいのか」といった熱的ボトルネックを最初に考えた上でベイパーチャンバーを使用することを推奨します。
また、「どこから手をつけよう…」と熱対策への課題は抱えつつも解決策を見いだせていない時には、熱設計の部分から相談して頂けると、私たちからも様々な提案が行なえると思います。

打ち合わせする森上、沼本

Q共創を通してどういったことを成し得たいですか?

森上 村田製作所では技術伝承とともに人を育てています。技術とともに、人の想いも受け継がれ、次の世代へ伝えてゆくのが義務であり恩返しであると私は考えています。
人の想いや考え方はいろいろで、そこに多様性の面白さがあります。共創は、社風や風土の異なる企業が新たな接点を持つことができる機会だと思います。
共創により新しい領域を開き、共に発展することができれば、ありがたい話だと考えています。

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