THEME #04

細菌などの微生物検査を素早く高感度にできる装置開発を、
村田製作所がサポートします。

  • 募集内容

    素早く高感度に細菌などの微生物検査を行うことができる「光濃縮システムを使った迅速微生物検査装置」を開発する共創パートナーを募集しています。

  • 活用商材

    光濃縮技術を使った迅速微生物検査を可能にする光濃縮システム

MATCHING
POINT

  • ・迅速微生物検査装置を使った検査を導入したい食品・医薬品メーカー様およびその装置メーカー様
  • ・HACCPによる工程管理を義務化された食品メーカー様
  • ・食品衛生検査向け業界団体
光濃縮システム

新型コロナウイルス流行の影響もあり、人々の清潔、安全性への関心はますます高まっています。
食品業界では、食中毒の予防、食品の衛生管理、品質・安全性評価、食規格・基準の判定など、細菌検査を実施する局面が多くあり、同時にグローバル化で食品の輸出入など人とモノの動きが活発化するなかで、検査の効率化が重要な課題となっています。

また、医療業界・臨床検査においても、病気や院内感染の原因である細菌を速やかに特定する必要があり、迅速かつ高感度な細菌検査方法の開発が求められています。こうした課題解決のために、村田製作所では大阪府立大学と共同で「光濃縮技術」を活用した効率的で高感度の細菌検査装置を開発しました。
今後、さらなる実用化のために、食品検査市場、臨床検査市場において「光濃縮細菌検査システム」をオープンイノベーションとして共創で開発をするパートナー企業様を募集します。

食品市場での細菌検査とは

食中毒防止や食品の品質確保には、食品に付着した細菌などの微生物の制御が常に不可欠です。しかし、細菌などの微生物は肉眼での観測ができず、知らない間に増殖し、汚染を広げてしまう危険があるため、微生物による健康被害を防ぐためには「製品・商品の汚染状況」「製造工程や従事者の衛生管理状況」を検査し、リアルタイムでの状態の把握、安全を確認することが大切です。

食品における微生物検査の項目には一般的なモノだけでも以下のものが挙げられ、その数量の多さだけでなく必要な対応策もそれぞれ異なり、検査にかかる時間、コストなどの面で衛生管理に関わる方々を悩ませており、迅速で手軽な検査方法の確立が求められています。

食品における細菌検査の項目
一般指標菌 一般生菌、大腸菌群
病原菌 大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、O157;H7、リステリア、カンピロバクター
ウイルス ノロウイルス
※ウイルスは自己複製ができず代謝を宿主に依存するため、生物とは言い切れません。生物学では「生物と非生物の間に位置する」と考えられていますが、ここでは生態系を構成する一員として微生物の仲間としています。
引用:日本微生物生態学会

また特に日本の食品業界では2021年6月よりHACCP(ハサップ)が完全義務化されることもあり、食品工場や飲食店では、微生物検査への関心がますます高まっています。

HACCPとは?

HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字を取ったもので、食品製造・流通の工程管理で使用されるリスクマネジメント手法の一つです。「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の頭文字を取ってひとつにした略語で「危害要因分析重要管理点」と呼ばれており、宇宙食などの安全性を確保することを目的にNASAなどの機関によって構想されました。

危害要因分析
原材料から加工、調理、出荷に至るまでの工程ごとに健康被害に繋がるおそれのある原因(危害要因:食中毒菌や有害化学物質、硬質異物など)がないか調査すること
重要管理点
危害の除去や低減など、直接管理できるポイントを継続的に管理、記録すること
HACCPでは、食品が完成してからではなく、製造段階で生じるリスクも予測、分析し食品の安全を確保するという点が大きな特徴です。日本の食品衛生レベルを世界基準に合わせるためにHACCP義務化の動きが高まり、食品衛生法が改正。食品業界はHACCPに沿った安全・衛生管理に対する対応が迫られており、衛生管理の強化が企業の競争力に直結します。そのため、食品工場や食品機械メーカーは安全性を高める活動や製品開発が活発化しています。

医療や臨床現場での細菌検査とは

臨床現場における細菌検査とは、病気(感染症)を起こしている原因となる細菌や微生物を特定(検出)し、必要な処置やどんな薬が効くかを調べる検査です。

細菌や微生物は私たちの身近に生息しており、人の体にも多くの細菌が存在し、病原性のない細菌(常在菌)と、病原性を示す菌(病原菌) に分かれます。呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚・軟部組織感染症、髄膜炎、耳鼻咽喉科領域の感染症、感染症心内膜炎、腸管感染症など、発熱や咳、下痢などの感染症を疑う症状が現れた際に、その原因が細菌なのか、細菌であれば、どのような対処が有効か、どのような薬 (抗菌薬) が効くかを試験・検査することが、臨床現場での細菌検査の目的です。そのため細菌検査では、患者から検尿、喀痰、血液、検便などの様々な材料を採取し検査に用います。

細菌検査のこれまでの課題

培養法では検査期間が長い

細菌検査では、これまで培養法を基本としていましたが、結果が得られるまでに1〜10日程度を必要としていました。例えば食品工場でO157などの有害細菌の有無を特定するのに数日から10日も掛かってしまう。また、病院や分析センターで疫病確認のために細菌検査を行おうにも数日から10日掛かるという状況で、検査に要する時間の短縮化という課題がありました。

熟練した知識と技術が必要

細菌検査を培養法で行うには、培地の調製や滅菌処理など、複雑な操作が必要な場合もあり、熟練した知識と技術が要求され誰でも簡単に検査が出来るものではありませんでした。
これらの問題を解決するため、近年では酵素免疫測定法(ELISA法)や生命体のエネルギー源であるアデノシン三燐酸(ATP)を検出することで間接的に細菌の有無を検出する方法の開発も行われていますが、測定部位に細菌を誘導し、コンパクトな装置で迅速かつ高感度で検出する手段はありませんでした。また、光ピンセット技術を使用した際も、作用範囲が数マイクロメートル程度のレーザースポット径と同程度であるため、少数の細胞を対象とした精密計測には向いていますが、多数の細胞を迅速に捕捉することは困難でした。

大型で持ち運びが出来ない

従来の細菌検査・微生物検査機は大型で、必要な箇所に携帯し巡回検査が出来ないというデメリットがありました。また小さな事業所や店舗など大型の設備が導入できないケースでは外部機関に検査を依頼せざるを得なく、結果が出るまでに時間が掛かってしまうということになってしまいます。

産学連携で光濃縮システムの小型化に成功

これら微生物検査の課題を解決するために、村田製作所の小型化技術、大阪府立大学LAC-SYS研究所が有する光濃縮技術を活用し、細菌検査の測定時間を大幅に短縮し、容易に持ち運びができるポータブルサイズの細菌濃縮装置を実現。
村田製作所とLAC-SYS研究所が産学の知見を統合することで、光学系と基板の構造を改良し、検査の迅速化、小型化、高感度化に成功しました。

光濃縮技術の仕組み

光濃縮技術は微生物の入った液体サンプルにレーザーを照射し、マイクロバブルと熱による対流を発生させて濃縮する仕組みです。
光学系と基板の改良で同技術のバブルの発生効率や対流の作用範囲を向上し、捕捉率は従来の大型機の1.8倍を実現した。1つの素子を用いて300秒間のレーザー照射を行うことで10万個以上の細菌や微粒子を捕捉できるようになりました。

光濃縮システムの仕組み
真上から見た様子
光濃縮システムの構成図

光濃縮システムのメリット

検査時間は約90秒。大幅短縮が可能

光濃縮技術による微小物体集積と集積体サイズ計測(集合体の面積など)を通じた検出により、従来の培養検査に比べて検査時間の大幅短縮に成功。従来48時間かかっていたものが、約90秒で検査が終了します。

光濃縮により培養フリーでわずか数分で細菌数計測を実現

Y. Yamamoto, T. Iida*, S. Tokonami*, et al., Opt .Mater. Exp. 6,1280 (2016) ;
ACS Appl. Bio Mater 4, 1561 (2019).

コスト削減にも効果があります

検査待ち食品や検体を保管する設備が不意。これまで、それらに掛かっていた費用を削減できます。

スマートフォンサイズの小型化を実現

従来の光濃縮システムではスーツケース程度(長さ87㎝×幅67㎝×厚み72cm)だった装置サイズを、持ち運び容易な手のひらサイズ(長さ10㎝×幅6㎝×厚み2cm)まで小型化に成功。スマートフォンサイズの小型筐体を実現することで携帯性が向上し、計測を必要とする場所まで持ち運んで使用することが可能になりました。

検出感度の向上

検出下限値として100cells/mLの細菌検出を目指して開発を進めております。
検体の容量も1mL以上となるように光源や基板、容器に様々な工夫を加えております。

光濃縮システムの活用シーン

光濃縮システムは、食品分析センターや医療機関において数日を要している細菌検査などを迅速化するだけでなく、携帯性を活かして空港や駅などの公共エリアにおける細菌・ウイルスなどによるバイオテロの未然防止など、さまざまなシーンで活用できると考えています。

  • 食品工場、医薬品工場、化粧品工場
  • 医療機関、クリニック、分析センター
  • 空港、博物館・美術館などの公共エリア

村田製作所とのパートナーシップメリット

メリット1
キーパーツの保有量
村田製作所では「光濃縮技術」による細菌検査装置のキーパーツを自社保有しています。そのため必要とするデバイスがワンストップで購入できるというメリットがあります。
メリット2
取得特許の豊富さ
製品開発を行う上で直面する問題、課題、それらを解決するために必要となる技術と使用権を特許申請中です。自社でゼロから開発すると多大な労力とコストが掛かりますが、村田製作所と協業することでそれらを抑えることが出来ます。
メリット3
モノづくりの豊富な経験
計測器を協業で開発するにあたり、ものづくりのシステム構築や検証が必要になってきます。また製品化するには数多くの部品(モジュール開発)が必要になります。創業以来モノづくり企業として数々のソリューションを達成してきた村田製作所の知見やノウハウを活用できます。
メリット4
部品・モジュールの
入手が手軽
既に関連する市場で数ある製品を提供している村田製作所では、必要とするデバイスを既存ラインナップの中からご用意できるケースが多々あります。そのため新たに開発、調達する必要がないために、必要とする部品、モジュールを手軽に入手できるというメリットがあります。
光濃縮システム開発者

光濃縮システム開発者紹介

デバイスセンター 応用技術開発部
山崎力(やまさきつとむ)・
鷲田浩人(わしだひろひと)

光濃縮システム開発のきっかけは、大阪府立大学のLAC-SYS研究所から発信された光濃縮基板の 研究に関するプレスリリースでした。ここで、微生物の光濃縮検出の高効率化とデバイスの小型化を目的とした光学系開発の研究内容に関して意見交換をしたことがきっかけでした。

光濃縮システムにおいて、細菌等を捕捉するために効率良くレーザー光を照射する光学レンズの開発は、村田製作所がこれまで培った光センサーの技術によって小型化の実現性が高く、大阪府立大学LAC-SYS研究所が世界をリードする独自の光濃縮技術との高い親和性がありました。

お互いの知見を持ち寄ることでこれまでにない全く新しいバイオ検出手法の提案ができると考え共同研究を開始。産学の知見を活用し、利便性に優れた製品提供に向け、共同で課題解決に向けて取り組んできました。

この技術を活用した今後の注目市場として、食品検査や医療機器向けに光濃縮技術を展開していきたいと考えています。特に食品衛生に関して、消費者である我々自身も高い関心を持っている反面、実際は店舗に並んでいる食品の安全性を確認しようにも、提供される情報を信用して購入しているだけで何もできない現実にはがゆさを感じていました。

また、日本においては2021年6月にHACCP義務化が本格スタートします。
しかし関連企業においても対応できている企業と、できていない企業があるのが現実です。
こうした課題を解決するためにも、食品メーカー様、医薬品メーカー様、食品・医薬品の分析機器メーカー様とともに、我々村田製作所と大阪府立大学が共同開発を進める ポータブル光濃縮システムを活用いただければと思っています。

実際の現場のニーズ、機器開発の進め方で困っておられることなど、何でもお聞かせください。
村田製作所のパーツ提供力、特許、ものづくりの知見を、皆様の課題解決にお役立てください。

お問い合わせ

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