協業事例

農業業界の高齢化・低所得化の改善、農作物の安定収穫化に繋がる土壌センサと農業分析ツールの連携

概要

てらすま

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村田製作所
協業企業 テラスマイル株式会社様
業界・業種 卸売業
事業内容 農業経営(営農)に関わる農業データ分析サービス「RightARM」の提供
協業内容 土壌センサと農業データ分析サービス「RightARM」の連携
  • 01

    業界の課題

    農業業界の高齢化・低所得化と農作物の安定収穫化が大きな課題となっていた。

  • 02

    協業のポイント

    ムラタの持つセンシング技術とテラスマイル様の持つ農業経営の現場感で、新たな価値を提供した。

  • 03

    協業による成果

    データという定量的な判断材料を提供する事で、農業経営者がこれまでの打ち手を振り返る材料となった。
    周りを含めた行動が変わった事により、経営力の向上に繋がった。

高齢化・低所得化が進む農業業界

新規就農者や、若手農業者が農業業界に入るためには、大きく二つの壁があります。
一つは就農時の所得確保、借入返済、もう一つは雇用時の所得減少です。
重油や肥料、農業資材の価格高騰、人件費の緩やかな上昇、働き方改革が進む日本において、農業は外部から見えないことも多く、これらの影響から世代交代が進まず、高年齢化が進んているのが現状でした。

低所得化については上記以外に、サプライチェーンの構造の影響を受けています。
農業者はJAから市場を経由し、卸業者→帳合→小売りという流れで農作物が流通しますが、収穫量のブレが大きいために、リスクヘッジ・産地分散を行うための調整弁として卸業者が数社介在するのが通常でした。

しかし、小売りの統廃合による規模拡大化や、人件費高騰、働き方改革の影響により各社にかかる負担が増える中で、介在する各機能の負担を各社が生産性を高めて解消できる段階からは既に溢れてしまい、結果として低価格仕入による農業者の低所得化への繋がっていました。

土壌データの可視化の重要性

前述の高齢化・低所得化を改善する方法は大きく二つ考えられます。
一つは、小売りが低額で仕入れられること。
もう一つは調整弁の役割の卸売業者の仲介を減らし、サプライチェーンのシェアを確保する事です。

いずれの方法を選択するにしても、精度の高いデータを活用した収穫予測、コントロール、シミュレーションによる農作物の安定収穫の実現が求められます。

農作物の安定収穫を実現するためには、農作物の目に見える地上部だけでなく、地下部の状態を適切に把握する事で、これらを行う事で早い段階から農作物の不調に対応・対策を打つことが重要となります。

これを実現するためには精度の高い土壌データを取得するセンサや取得したデータから気象情報や市況を考慮した分析ツールが必要になります。
テラスマイル様では農業データ分析サービス「RightARM」を提供していますが、データを取得するセンサは従来「海外製は容易に使用できる反面、データの信頼性が低い」、「国内製はある程度の信頼性があるものの、使用の前準備が大変」などを始めとした様々な課題があり、業界としても革新的な製品が求められていました。

安定収穫実現のために必須となる農作物の地下部の状態把握に課題感を持っていた

  • 農作物の土壌観察
  • 農作物の様子

協業に至った背景

福岡でのマッチングイベントがきっかけとなりました。
ムラタのセンシング技術と仮説が、農業経営に関わるデータ分析サービスを提供するテラスマイル様の現場感、課題意識と合致し、ユーザ産地での実証実験に繋がりました。
取得できるデータの精度が高く、取得方法も便利であった事から高い顧客評価を得る事ができました。

取り組み概要

ムラタ製土壌センサで取得した電気伝導度、水分率、温度状態等の土壌データをテラスマイル社様提供サービスのRightARMへ取り込み、提供の分析データを元にピーマンの安定収穫を実現しました。

取り組み概要図

協業による成果

農業経営者自身の経営改善と、従業員など周りの人の行動が変化することで、現場改善に繋がりました。収穫量の波が大きい農業において、波の平準化(毎週、安定した収穫量が取れる=安定生産)に繋がり、2つの反収(単位面積当たりの収穫量+売上)が10%増加するという成果を出すことができました。

大企業とベンチャー企業との連携というと、多くが「発注先と下請け」もしくは「監督と現場」の構造へとなりがちな中で、互いの強みを生かした「連携」の実績が作れたと考えています。

互いの価値を認め合う中で、共通の目標(解決すべき社会課題)が醸成され、同じ目線で意見交換や取り組みができる関係性は、日本が目指すべき理想の協業の一つと考えています。

今後の展望

協業者の方々

経営の実績分析・要因分析・予測などのクラウドサービスを提供する中で、信頼性の高いデータが収集できることは、より質の高い経営分析サービスの提供へとつながっていくと考えています。

今回の評価を得て、農業の環境制御装置・環境モニタリングサービスのメーカーに、テラスマイル様からもムラタ製土壌センサを早期採用頂くように提案を進めていきたいとコメントをいただいています。

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